AGA

髪の毛が抜ける原因と対策まとめ【保存版】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

目次

1.そもそも髪の毛はどうやって生えてくるのか?

髪の毛にかかわらず、体毛が形成されるのは妊娠3カ月の胎児の頃から。

脳や心臓、肺などの臓器の形成に合わせて、発毛器官も比較的早期から徐々に発達し始めているのです。

とは言え、胎児の時点での毛は胎毛と呼ばれるいわゆる産毛で、髪の毛や眉毛と言った特定の箇所で生えるというよりもむしろ、全身の毛乳頭が存在する部分で発毛が開始され、全身が体毛に包まれているような状態だそうです。

この胎毛は妊娠後期に子宮の中で一度すべて抜け落ちた後、新たな毛に生え変わります。

また生後間もない赤ちゃんの髪の毛は、生え変わりの周期などがまだ安定しておらず、生後半年ほどの間に再度抜け落ちて生え変わり、その頃から髪の毛や眉毛が他の体毛とは異なった硬い毛が生えてくるようになるのです。

1-1.髪の毛の構造

一本一本の髪の毛の構造を見てみると、髪の毛は三層からなっており中心部の髄質とその周辺部にあたる毛皮質(コルテックス)、髪の毛表面部分のキューティクルに分けることができます。

このうち毛皮質にはメラニンと呼ばれる色素が点在しており、これが髪の毛の色を決定しています。

日本人の場合はメラニンのうち濃い褐色の色素であるユーメラニンが一般に多く含まれており、このため黒髪の人が多いのです。

またキューティクルは髪の艶のもととなるのと同時に、髪の毛内部を保護する役目を担っていますが、このキューティクルが剥がれたり傷つくと切れ毛や髪が傷んだ状態となります。

このような私たちが普段目にすることができる頭皮から上の髪の毛の部分も大切ですが、髪の毛が抜ける・生えるのを考える上では、髪の毛の見えない部分、つまり頭皮の内側、毛髪の根元部分の構造が非常に重要。

この毛根部分を包むようにして存在しているのが毛包と呼ばれる組織で、毛穴は皮膚表面から見える部分は毛包の上部になります。

毛包と呼ばれる組織の内部では髪の毛が新生され、また伸長していくのですが、毛包の一番最下部にあるのが毛乳頭と呼ばれる部分です。

毛乳頭は毛細血管と接しており、髪の毛の伸長に必要な栄養素を血液中から受け取るという重要な役割を果たしています。

この毛乳頭を介した栄養供給が滞ると、髪の毛は頭皮から体外へと伸長することができず、薄毛やハゲの原因となる場合があります。

また、毛乳頭付近には毛母細胞と呼ばれる細胞が集まった毛母体という組織があり、毛母体の毛母細胞が細胞分裂を繰り返して増殖することで、髪の毛は伸長していくのです。

新しい髪の毛というのは髪の毛の先端部分では無く、このような毛母細胞の増殖が活発な毛根部分にあたるのです。

1-2.髪の毛が伸びる仕組み(毛乳頭と毛包幹細胞)

毛母細胞の細胞分裂が髪の毛を作り出しているのですが、この毛母細胞は毛包幹細胞と呼ばれる幹細胞が分化して作り出される細胞と考えられています。

一般に幹細胞とは、あらゆる細胞に分化・変化できる能力を持った万能細胞のことを指しますが、毛包幹細胞は毛包を構成するさまざまな細胞に分化する能力を有した細胞を意味しています。

この毛包幹細胞が髪の毛の素となる毛母細胞に分化することで、毛母細胞が増え、それがさらに細胞分裂・増殖を繰り返すことで髪の毛が伸長していくという仕組みになっているのです。

逆に、毛包幹細胞が正常に働かず分化できなくなると、髪の毛の素となる毛母細胞が生み出されず、髪の毛が生えないといった状態になってしまいます。

またこの毛包幹細胞の活性化・分化には毛乳頭細胞から分泌されている物質が関与していることも分かっています。

つまり髪の毛の伸長には正常な毛包幹細胞と正常な毛乳頭細胞の双方の作用が必要で、毛乳頭細胞が分泌する栄養素や増殖因子などのシグナルをきっかけとして毛包幹細胞が分化、増殖することで髪の毛の伸長が実現されているのです。

>2.通常、髪の毛は抜ける⇒生えるを数年単位で繰り返している!

「いま生えている髪の毛は一生涯、生え続けているものなのでしょうか?」

これは実はそうではなく、髪の毛の一本一本には一定の寿命があり、抜ける・生えるを数年単位で繰り返しているのです。

この髪の毛の発毛、伸長、脱毛の繰り返しは、毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれています。

毛周期には成長期、退行期、休止期と呼ばれる3つの期間があり、また一本一本の髪の毛で毛周期のタイミングが異なるため、頭部全体として一定の髪の毛の量が維持されているのです。

ところが、この毛周期に何らかの異常が生じると、髪の毛が抜けたまま新たな毛が伸長してこないといった脱毛が生じます。

この毛周期の異常が一定数以上の髪の毛で同時に発生してしまうと、私たちの目で見ても分かる薄毛やハゲといった現象になるのです。

一本一本の髪の毛の毛周期が正常に繰り返されている状態を維持することは薄毛や抜け毛の防止のためにも重要で、それぞれの髪の毛が抜ける・生えるのに数年単位のサイクルを正常に繰り返してはじめて全体として頭髪が維持されるのです。

2-1.毛周期①成長期とは?

成長期とは髪の毛が伸長する期間で、通常は2~7年と言われています。

成長期において毛包は頭皮皮下の深くまで伸長し、皮下組織へと侵入していきます。

成長期の髪の毛は1日に平均して0.3mmから0.5mm伸びていると言われており、毛母細胞の細胞分裂が盛んに行われている期間と言えます。

男性型脱毛症などでは、この成長期の期間が極端に短くなり、十分に髪の毛が伸長しないまま退行期に入ったり、また相対的に退行期・休止期にある髪の毛の量が増加することで薄毛・抜け毛といった症状を引き起こしていると考えられています。

2-2.毛周期②退行期とは?

成長期が終わり、髪の毛の伸長が止まると毛包の退縮が始まる退行期に入ります。

退行期は2~3週間程度で、毛母細胞の細胞分裂は停止、この間は髪の毛の伸長も停まります。

頭皮の皮下組織まで侵入していた毛包は縮小して、毛包下部にある毛乳頭部分が頭皮近くまで上昇していき、同時に毛乳頭自身も退縮していきます。

2-3.毛周期③休止期とは?

退行期を終えると休止期となり、毛根は完全に退化した状態になります。

この休止期が数カ月程度と考えられており、休止期が終わると毛乳頭・毛母細胞が新生され、毛包下部から新たな髪の毛の成長が始まります。

これがいわゆる発毛にあたり、新たに生成した髪の毛に押し出される形で古い髪の毛が抜けるのです。

3.通常以上に髪の毛が抜ける・抜けたまま生えてこない=ハゲる原因とは?

髪の毛は抜ける・生えというサイクルを一定の間繰り返していることから、髪の毛が抜けること自体は薄毛・ハゲの原因ではありません。

むしろ、髪の毛が抜けた後の髪の毛の新生が何らかの原因で行われなかったり、毛周期に異常が発生し正常な成長期が維持されないことなどが薄毛やハゲの原因と考えられます。

こうした髪の毛の新生や毛周期への異常はさまざまな原因により引き起こされることが知られていますが、ここでは代表的な6つの原因をご紹介します。

3-1.加齢とともに毛包幹細胞が正常に分化しなくなる

毛包幹細胞は毛母細胞に分化するなどして、髪の毛の伸長や再生に重要な役割を果たしています。

ところが、加齢や老化によって毛包幹細胞が正常に分化しなくなる可能性があることが日本医科歯科大学の研究チームにより示唆されています。

加齢によって、人だけでなくマウスも薄毛になることがすでに明らかにされているのですが、このマウスの毛包幹細胞を観察したところ、マウスの年齢に伴って毛包幹細胞そのものの分裂・増殖が抑制されるほか、毛母細胞などへの分化が減少、逆に皮膚表皮の角化細胞などへの分化が増加し、フケや垢となって体外に排出されていくことが分かったのです。

つまり、加齢によって毛が薄くなる、髪の毛が抜けてハゲになるというのは、毛包にある幹細胞が徐々に減少、幹細胞が体外へと失われるために毛包組織そのものが縮小、生えてくる紙の毛が細くなったり抜け落ちていくことが原因と考えられるのです。

このことを逆に考えれば、髪の毛の素となる毛包幹細胞が正常に働きつづければ、加齢による薄毛や抜け毛を防止できるとも考えることができ、この幹細胞の正常な分化をどうしたら維持できるか、維持のために必要な物質な何か、といったことに注目が集まっています。

3-2.男性型脱毛症(AGA)などの毛髪疾患によって髪の毛が抜ける

髪の毛が抜ける原因が、各種脱毛症などの毛髪疾患にある場合も考えられます。

代表的な例として挙げられるのが「AGA」と呼ばれる男性型脱毛症で、前頭部から頭頂部にかけて広範囲に渡り薄毛になっていく症状を示します。

成人男性に比較的多くみられる男性型脱毛症ですが、その発症には男性ホルモンが何らかの形で関与していることは長く知られていましたが、詳しいメカニズムは分かっていない状態でした。

近年になり、男性ホルモンの1つである「テストステロン」の代謝産物である「ジヒドロテストステロン」が男性型脱毛症の原因物質ということが明らかになり、注目を集めています。

このジヒドロテストステロンも男性ホルモンの一種と考えられるのですが、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に作用して髪の毛の毛周期を狂わせ、成長期の髪を退行期に変えてしまうことで、髪の毛の発育を抑制する働きをすることが分かったのです。

一方、このジヒドロテストステロンを髭の毛乳頭細胞に作用させると、髭の伸長を促進する働きをすることも明らかになりました。

このことから男性ホルモンには、髭は濃くする作用があるものの、髪の毛に対しては逆に脱毛させる働きがあると考えられています。

このため、男性ホルモンを多く持つ成人男性で男性型脱毛症を発症しやすいのですが、ホルモンバランスの変化によっては男性だけでなく女性にも同様の脱毛症状が起こり得ることも分かっています。

また、こういった脱毛症は遺伝的要因によるものとも言われますが、これはテストステロンの分泌量やテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素の分泌量などが遺伝的に異なるためと考えられ、やはりジヒドロテストステロンによる毛周期の乱れが、脱毛症を発症する主な原因なのではないかと考えられています。

さらに人種によっても発症確率は異なり、アングロサクソン系では40数%と比較的高く、若年で発症することも多く、また進行も早いと言われていますが、日本人の発症率は約30%で、比較的遅くに発症し、進行スピードも比較的遅いという特徴があるようです。

ただし、同じアジア系でも韓国・中国人の場合は、日本人より発症率が10%低いと言われています。

3-3.抗がん剤などの薬剤の副作用

病気・疾患の治療に用いられる薬剤によっては、その副作用により脱毛症状が引き起こされることが知られています。

がん治療に用いられる抗がん剤には、白血球や血小板の減少や末梢神経障害、おう吐などの副作用があることが知られていますが、脱毛もまた副作用の1つとしてよく知られています。

抗がん剤の種類によっては、その副作用により頭の髪の毛だけでなく、まつ毛や眉毛なども同時に抜けるといった症状が起きる場合もあります。

一般的に抗がん剤は細胞分裂を抑制する働きをするのですが、これによってがん細胞の増殖だけでなく、髪の毛の伸長に重要な毛母細胞の分裂・増殖にもダメージを与えられてしまうため、髪の毛などの毛が抜けるといった副作用が引き起こされていると考えられています。

ただし抗がん剤治療が完了して、投薬が停止されてからしばらく経過すると毛が抜け落ちた部分から自然に発毛が再開されることから、毛包組織そのものは抗がん剤やその副作用によって破壊されないと考えられます

また副作用としての脱毛を抑制するため、発毛を促進する薬剤と抗がん剤を同時に投与する研究なども進められています。

3-4.自己免疫疾患やアレルギー疾患

例えば、部分的に髪の毛が抜けてしまい、100円玉程度の大きさの円形のはげができてしまう「円形脱毛症」の要因が、自己免疫疾患にあるケースが知られています。

自己免疫疾患とは、正常であれば免疫反応を起こさない、自分の生体内にある物質に対して免疫システムが応答してしまうという免疫異常の1種で、毛包部分を免疫対象の異物であると身体が認識してしまい、毛包部分に炎症を発生させてしまうことがあります。

これが円形脱毛症の原因の1つとして考えられているメカニズムであり、髪の毛の根元部分がダメージを受けてしまうことで、その部分の髪の毛が抜ける、また新たな髪の毛が伸長せず、脱毛症が発生するのです。

また同様の免疫異常の1つとしてアレルギー疾患が挙げられます。

アレルギーとは体外から侵入してくる物質に対して過剰な免疫反応を起こしてしまう症状で、花粉症や金属アレルギーなどが良く知られています。

このようなアレルギー反応の中で、何らかの原因で頭皮部分にある物質に対して過剰な免疫反応を起こしてしまうと、髪の毛の伸長が阻害されたり毛包組織が破壊されてしまい、髪の毛が抜ける、新たに生えてこないといった症状を引き起こす可能性があるのです。

3-5.精神的ストレスで髪の毛が抜けるのはなぜ?

一般的に精神的なストレスが髪の毛の抜ける原因の1つとして考えられることがありますが、この背景には2つの考え方があります。

1つはストレスや疲れ、生活環境の急速な変化によって自律神経の働きが低下し、これによって脱毛が生じてしまうという考え方。

自律神経は交感神経と副交感神経から構成されますが、このうち休息・リラックス時に作用する副交感神経は免疫力と関連があります。

ストレスにより副交感神経が上手く働かなくなると、免疫力が全般的に低下したり自己免疫疾患の症状が引き起こされ、それによって脱毛が生じる可能性があるのです。

さらに、もう1つはストレスによる血行不良を原因とする考え方。

ストレスやそれに伴う睡眠不足や運動不足は全身の血行を悪化させ、髪の毛の生成に必要な栄養の毛包への供給量が減少、毛が伸長しなくなる、あるいは毛が抜けるといったメカニズムも考えられます。

またストレスはホルモンバランスも変化させる可能性が考えられ、男性ホルモンの割合が急激に増えると、結果としてジヒドロテストステロンといった男性型脱毛症の原因となるような物質が多く産生されてしまい、脱毛・抜け毛などの症状を発症することも考えられるのです。

3-6.頭皮への物理的ダメージ

頭皮や髪の毛への物理的なダメージもまた、髪の毛の成長を阻害したり、髪の毛を弱らせるなど、髪の毛が抜ける原因になり得ます。

物理的なダメージにより毛包部分ごと髪の毛が脱落することもあったり、また頭皮が傷つけられることで細菌などが侵入し、毛包部分で炎症が発生するなどして髪の毛の伸長が滞ってしまうことも考えられます。

重篤な場合、毛包の一部が何らかの原因で破壊され、毛包幹細胞が供給されなくなる疾患である「瘢痕性脱毛症」と診断されるようなケースもあります。

一般にこの瘢痕性脱毛症は、頭皮の皮膚疾患や細菌への感染、頭皮の火傷や怪我などが原因となり引き起こされる疾患です。

また他にも、特に女性に多い疾患として「牽引性脱毛症」と呼ばれる症状も上げられます。

これは決まった髪型で毎日同じ部分を強く縛っていることが原因で発症する可能性がある疾患で、特定部分の髪の毛を強く引っ張り続けることでその部分の毛包組織を物理的に損傷してしまうことが原因と考えられています。

4.薄毛・抜け毛に対する対策

髪の毛が抜けることを防ぐということは、髪の毛一本一本の毛周期を正常に維持し、髪の毛全体の新生・脱毛のサイクルを維持するということになりますが、薄毛や抜け毛の原因はさまざまなことが考えられることから対策も同様に多岐に渡ります。

大切なのは、自身の症状に合った対策を選択すること。

ここでは薄毛・抜け毛になってしまった場合の対策として5つを紹介します。

>4-1.血管拡張・血行改善を狙った育毛剤

血行不良、それに伴う髪の毛の新生に必要な栄養素が減少することは毛包幹細胞の分化や毛母細胞の分裂・増殖を妨げ、髪の毛が抜ける原因となり得ます。

血行不良はストレスや疲れ、運動不足などにより引き起こされるほか、喫煙により摂取されるニコチンなども血管を収縮させ血行不良を引き起こす作用を持つことが知られています。

このような頭皮付近の血行不良を改善するため、育毛剤の中には血管を拡張する作用をもち、血行改善作用を謳うものが多くあり、毛乳頭部分へ栄養素を十分に供給することで細胞分裂を活性化させ、発毛を促すことを狙っています。

したがって、薄毛や抜け毛の原因が血行不良でない場合、血行改善を目的とした育毛剤では効果が出ない可能性もあるのです。

また、頭皮環境が不衛生な状態では髪の毛の成長に良い状態とは言えず、育毛剤を使用して血行を改善したとしても期待する効果が出ない場合もあります。

頭皮や髪の毛に付着した雑菌や有害な物質により髪の毛の伸長そのものが阻害されている可能性があるためで、毎日の洗髪や寝具は衛生的な状態で使うなど頭皮環境を清潔な状態に保つ工夫も合わせて必要と考えられます。

4-2.男性ホルモンを抑えることが男性型脱毛症治療のカギ?!

男性型脱毛症の原因物質が男性ホルモンの作用にあることは前述の通りですが、この作用をブロックするフィナステリドという薬剤が、近年になって医師の処方で服用できるようになってきました。

フィナステリドは男性型脱毛症の原因物質であるジヒドロテストステロンの産生を抑制することを目的に、テストステロンからジヒドロテストステロンに変換する際に働く酵素の作用を阻害する薬剤です。

このような薬剤を服用することで、男性ホルモン物質の増加を抑制することもまた薄毛・抜け毛に対する有効な対策の1つとなってきています。

またこうした男性ホルモンの作用により引き起こされる脱毛症は、急速なホルモンバランスの変化が原因であることも。

一般的にホルモンバランスの変化は、不規則な生活や精神的なストレス、また過度なダイエットや、女性の場合は出産前後や更年期などによって生じると考えられています。

ホルモンバランスが変化してしまった場合は、食事内容を見直して女性ホルモンを増加させるような食品・食材を積極的に摂取したり、生活リズムなどを整えるなどして、正常なホルモンバランスに戻すための対策も必要になるのです。

4-3.一度失った毛包を再生できる?!再生医療の最前線

髪の毛の生成・伸長には、毛包内部での毛乳頭と毛包幹細胞の正常な相互作用が必要です。

この毛乳頭細胞と毛包幹細胞を分離して試験管内で培養、毛包幹細胞の毛母細胞への分化を誘導し、髪の毛を人工的に生成させ、大量に増殖させた後で自身の頭部の毛包機能が失われた部分に移植するという技術開発が進められています。

実用にはまだ至っていませんが、このような髪の毛の再生医療分野は注目を集めており、近い将来には薄毛や抜け毛の治療として当たり前のものになる可能性があります。

実際にマウスを使った実験では、分離した毛乳頭と毛包幹細胞から毛包組織を再生させ、またそれを生体に再移植する実験が成功しています。

また、男性型脱毛症では頭頂部や前頭部の髪の毛の伸長が止まり、抜け落ちてしまっていることが多いですが、逆に後頭部の毛包などは正常な機能を維持している場合があります。

これは後頭部の毛乳頭細胞は男性型脱毛症の原因物質であるジヒドロテストステロンの影響を受けていないことを示しており、こうした部位の毛包を頭頂部や前頭部に移植するという方法で、髪の毛を再生させる手法が研究が進められています。

4-4.光で毛乳頭を活性化!LEDを使った脱毛治療

蛍光灯よりも数倍長い寿命、電気代が白熱電球の10分の1、さらに熱をもたず、単体でさまざまな色の光が出せることなど注目を集めているLED。実は薄毛の治療にも、このLEDが注目されてきています。ある研究によると、特殊な赤色LEDの光を頭皮に照射、光が毛乳頭細胞に届くと髪の毛を伸長させる物質の分泌が促進され、髪の毛の生え変わりが発生しやすくなることが分かりました。

光で脱毛症を治療すると言うのに違和感を覚えられるかも知れませんが、皮膚治療の現場ではレーザー治療など光を使った治療がすでに一般的で、強いレーザーを照射して疾病部分の細胞組織を破壊したり、弱いレーザーを照射することで血行を促進したり、細胞組織を活性化したりといった治療が日常的に行われています。

髪の毛に対するLED光を使った治療はまだ実験段階とのことですが、毛周期が休止期に入っているマウスを使った実験において、マウスに赤色LEDの光を定期的に照射し続けたところ、休止期の毛乳頭細胞が活性化され実際に発毛が観察されたという報告もあります。

また、ヒトの毛乳頭細胞を培養し、この培養細胞に赤色LEDを照射したところ、髪の毛の成長を促す増殖因子の分泌が促進されることが細胞レベルでも確認できたそうです。

つまり赤色LEDの照射には、休止期に入ってしまった毛乳頭を再び成長期に入らせる働きがあることが示唆されており、赤色LED治療の実用化に注目が集まっています。

4-5.髪の毛とは無縁じゃない!腸内環境にも注目

髪の毛と腸、一見すると遠い関係のように見えますが、実は髪の毛の成長や頭皮環境と腸内環境は、密接なかかわりを持っています。

例えば便秘のような症状になり腸内環境が悪化、腸内で悪玉菌と呼ばれる腸内細菌が急速に増加すると、腸内で多量の有毒ガスや有害物質が産生されます。

この有毒ガスや有害物質は、大腸がんなどの発症原因となる可能性があったり、また血流を介して全身に運ばれてしまい、皮膚表皮で皮膚炎や肌荒れを発症させる原因となったり、口臭や体臭を発生させることもあります。

これらの腸で産生された有害物質は当然ながら頭皮に運ばれる可能性もあり、これが頭皮ニキビなどの頭皮の炎症の原因になるほか、場合によっては毛包に炎症を発生させて髪の毛が抜ける要因ともなり得るのです。

腸内環境を良い状態に維持することは髪の毛を健康な状態に維持することに繋がることはもちろん、がんの予防や肌荒れ防止などの美容効果にも繋がるなどさまざまな効能があるため注目を集めています。

5.髪の毛が抜ける前に!普段からできる髪の毛に対するケア

薄毛や抜け毛の治療や対策としては、最先端の技術開発も含めてさまざまな方法が考えられています。

とは言え、薄毛や抜け毛になる前に日常生活の中で工夫を重ねて、いつまでも健康な髪の毛を維持したいもの。

最後に、普段からできる髪の毛に対するケアとして、皆さんにぜひおすすめしたい2点をご紹介します。

5-1.頭皮の環境を良い状態に保つ①毎日のシャンプーや頭皮マッサージ

髪の毛が抜ける要因として考えられる、髪の毛の栄養不足や雑菌による炎症。

これらを防ぐためには、頭皮の衛生状態を良くしたり、頭皮付近の血行を良い状態に保つことは最低限行いたいもの。

有効なのは毎日の洗髪・シャンプーや、頭皮へのマッサージです。洗髪・シャンプーは頭髪だけでなく、頭皮までしっかり洗浄することが重要。

頭皮に古い皮脂や角質が残ったままでは、菌が繁殖する要因になるなど衛生的な頭皮とは言えず髪の毛が抜ける原因にもなってしまいます。

とは言え、頭皮を傷つけるほど力を入れ過ぎた洗髪も問題で、毛包組織ごとそぎ落としてしまってはそれも髪の毛が抜ける結果に。

適度な力で、しっかり頭皮まで洗浄することが大切ですが、場合によってはシャンプーブラシなどを利用することもおすすめです。

また、シャンプーと同時に頭皮付近の血行を高めるマッサージも抜け毛防止に有効でしょう。

指の腹を使って、できるだけ毛流に沿った形で優しくマッサージを行うことで、頭皮を適度に刺激することができ、血行改善につながります。

5-2.頭皮の環境を良い状態に保つ②バランスの良い食生活

髪の毛の成長の素となる栄養素は、頭皮付近の毛細血管から供給されます。

食事内容に偏りが生じると、この髪の毛へ供給される栄養素にも偏りが出てしまうため、髪の毛が十分に伸長できなかったり、髪の毛が抜ける要因となり得ます。

つまり、髪の毛の成長や頭皮環境のためにもバランスの良い食生活が重要なのです。

特に肉類や揚げ物に偏った食事となると、動物性脂肪や動物性タンパク質の摂取量が増えてしまい、皮脂の分泌量が増えたり、腸内環境の悪化に伴い有毒物質の産生量が増えるなどして、頭皮環境を悪化させる可能性があります。

逆に、血行促進作用のあるビタミンEや、新陳代謝を促進する作用のあるビタミンBなどは頭皮環境を整えたり、髪の毛の伸長を促すのに有効で積極的に摂取したい栄養素になります。

また、男性型脱毛症のように男性ホルモンの過剰産生による薄毛や抜け毛を防ぐためには、女性ホルモン様の作用をする物質、例えば大豆製品に含まれるイソフラボンなどを積極的に摂取することも効果的と言えそうです。